2型糖尿病治療の多様化、それでも外せないポイントとは?~腎機能低下を見据えた2型糖尿病治療戦略~

腎機能低下を見据えた2型糖尿病治療戦略
腎機能低下を見据えた2型糖尿病治療戦略

 

先生もご存知のように、糖尿病は、高血圧、脂質代謝異常とともに慢性腎臓病(CKD)の共通したリスク因子です。そのため、高血圧・脂質異常症を合併した2型糖尿病患者では、腎機能を考慮して治療戦略を立てることが重要と考えられています。
さらに、SGLT2阻害薬の作用メカニズムを通じて、2型糖尿病と腎機能との関連について改めて注目が集まっています。
そこでこのコンテンツでは、2型糖尿病における腎イベントリスクに関するデータをご紹介しながら、腎機能低下を見据えた2型糖尿病治療について考えていきたいと思います。

 

2型糖尿病における腎イベントリスク

糖尿病は高血圧、脂質代謝異常とともにCKDのリスク因子であることが示されています。
また、糖尿病性腎症が死亡率に関連していることが報告されており、UKPDS 64では、糖尿病性腎症のステージが進展するほど死亡率が高くなっていました1)

2型糖尿病における腎イベントリスク01

図1

 

さらに、地域別の2型糖尿病患者の末期腎不全(ESRD)の推定発症率を検討した調査では、アジア人では白人に比べてESRDの頻度が高い2)ことが示されています。
このように2型糖尿病においては腎イベントのリスクが高まります。

  1. Adler AI, et al. Kidney Int. 2003;63(1):225-32.
  2. Anand S, et al. PLoS ONE. 2013; 8: e72860.

 

2型糖尿病における腎イベントリスク02

図2


2型糖尿病における腎機能低下と心・腎イベントの関連

2型糖尿病の腎機能低下例では、腎イベントリスクが高まることが知られています。
アジア人を含むADVANCE試験では、アルブミン尿とeGFRの低下は心血管イベントならびに腎イベントの重要なリスク因子であることが示されました。
また、糖尿病データマネジメント研究会(JDDM)の報告でも、eGFR低下とアルブミン尿は心血管疾患の有病率と関連が認められました3)

  1. Yokoyama H, et al. Diabet Med. 2008 Dec;25(12):1426-32.

 

2型糖尿病における腎機能低下と心・腎イベントの関連 01

図3


高血圧・脂質異常症を伴う2型糖尿病患者に対する集学的なアプローチの重要性

腎イベントのリスクを考慮した糖尿病治療では、血糖コントロールに加え、他のリスク因子を含めた集学的なアプローチが重要です。
たとえば、高血圧や脂質異常症を伴う2型糖尿病患者への介入については、日本人を対象としたJ-DOIT3試験が2017年に報告されています。本試験では、腎症の発症または増悪リスクが32%低下し、血糖、血圧、脂質への積極的な多因子介入を行うことにより、大血管合併症や細血管合併症に加えて腎症イベントも抑制できる可能性が示唆されています。

高血圧・脂質異常症を伴う2型糖尿病患者に対する集学的なアプローチの重要性

図4


EMPA-REG EXTENDᵀᴹ MONO試験

このような集学的かつ腎機能を考慮した2型糖尿病治療の有用な選択肢のひとつが、ジャディアンスです。
国際共同第Ⅲ相試験であるEMPA-REG EXTENDᵀᴹ MONO試験では、食事・運動療法で血糖コントロールが不十分(HbA1cが7.0以上かつ10.0%以下)な薬物未治療の2型糖尿病患者899例を対象に、ジャディアンス10mg群、ジャディアンス25mg群、プラセボ群またはシタグリプチン100mg群に無作為に割り付け、1日1回24週間経口投与しました。

EMPA-REG EXTENDTM MONO試験01

図5


HbA1c

その結果、ジャディアンス群およびシタグリプチン群では投与12週までにHbA1cが低下し、その低下作用は76週後まで持続することが検証されました。
投与76週後におけるベースラインからのHbA1c 調整平均変化量は、ジャディアンス10mg 群で-0.65%、25mg 群で-0.76%、シタグリプチン100mg群で-0.53%でした。

HbA1c01

図6


【参考情報】体重と収縮期血圧

本試験では体重および血圧への影響についても検討しました。
体重の調整平均変化量は、プラセボ群で0.4kgの低下、シタグリプチン100 mg群で0.1kgの増加、ジャディアンス10 mg群では2.2kg、25 mg群では 2.5kgの低下でした。
収縮期血圧の調整平均変化量は、プラセボ群で0.7 mmHg、シタグリプチン100 mg群で0.3 mmHgの低下、ジャディアンス10 mg群では4.1 mmHg、25 mg群では 4.2mmHgの低下でした。

【参考情報】体重と収縮期血圧02

図7


安全性

本試験における有害事象は、ジャディアンス10mg群76.8%(172/224例)、ジャディアンス25mg群78.0%(174/223例)、シタグリプチン群72.2%(161/223例)、プラセボ群76.4%(175/229例)に認められました。
投与中止に至った有害事象はそれぞれ4.9%(11/224例)、4.0%(9/223例)、4.9%(11/223例)、6.6%(15/229例)に認められました。
重篤な有害事象はそれぞれ11.2%(25/224例)、7.2%(16/223例)、8.1%(18/223例)、10.0%(23/229例)に認められ、死亡に至った有害事象はシタグリプチン群0.4%(1/229例)、プラセボ群0.4%(1/223例)でした。
主な有害事象は、高血糖がそれぞれ8.9%(20/224例)、4.9%(11/223例)、12.6%(28/223例)、27.5%(63/229例)、鼻咽頭炎がそれぞれ14.3%(32/224例)、11.2%(25/223例)、12.1%(27/223例)11.8%(27/229例)などでした。

安全性01

図8


EMPA-REG OUTCOME®腎アウトカム

続いて、ジャディアンスの腎イベントへの影響を検討したEMPA-REG OUTCOME®腎アウトカム解析をご紹介します。

EMPA-REG OUTCOME®腎アウトカム01

図9


【参考情報】腎複合イベント

ジャディアンス群のプラセボ群に対する腎症の初回発現もしくは悪化のハザード比は、0.61でした。

【参考情報】腎複合イベント

図10


【参考情報】eGFR変化量

192週間におけるeGFRの推移はご覧のとおりでした。

【参考情報】eGFR変化量

図11


安全性

本試験における有害事象は、ベースライン時のeGFR<60mL/min/1.73m2の患者において、プラセボ群95.1%(577/607例)、ジャディアンス群91.3%(1,107/1,212例)、ベースライン時のeGFR≧60mL/min/1.73m2の患者において、プラセボ群90.5%(1,562/1,726例)、ジャディアンス群89.9%(3,121/3,473例)に認められました。
投与中止に至った有害事象はそれぞれ27.5%(167/607例)、22.9%(278/1,212例) 、16.6%(286/1,726例)、15.4%(535/3,473例)に認められました。
重篤な有害事象はそれぞれ52.9%(321/607例)、45.5%(552/1,212例)、38.6%(667/1,726例)、35.6%(1,237/3,473例)に認められました。
死亡はそれぞれ6.6%(40/607例)、5.6%(68/1,212例)、4.6%(79/1,726例)、3.1%(108/3,473例)でした。
主な有害事象は、低血糖がそれぞれ38.4%(233/607例)、32.3%(391/1,212例)、24.2%(417/1,726例)、26.3%(912/3,473例)、尿路感染症がそれぞれ21.7%(132/607例)、22.9%(278/1,212例)、16.9%(291/1,726例)、16.2%(564/3,473例)でした。

安全性01

図12


 

臨床研究助成プログラム

ベーリンガーインゲルハイムは、医療関係者の皆さまからヘルスケアに関連する研究等の提案を受け付けています。

詳しくはこちら